日本学術会議の新会員候補6名の速やかな任命を求めます。

 文全協常任委員会は、12月5日付けで標記の声明発表を決め、菅内閣総理大臣に声明文を送付しました。任命が見送られた日本学術会議の新会員候補6名の速やかな任命を求めます。
 なお、2020年11月6日には、国内の220余りの人文・社会科学系の学会が、任命見送りの理由の説明や6名の任命を求める共同声明を発表しています。

   日本学術会議の新会員候補6名の速やかな任命を求めます。
 
 文化財保存全国協議会(文全協)は、日本に残されている豊かな文化財を守り、学び、正しく活用して後世に伝えていくことを目的に、1970年に結成された全国組織です。各地の歴史学・考古学関係の研究者、教員、市民や文化財保護関係団体などを結集し、文化財の学習・保存活動を展開しています。
 日本学術会議が25期の発足にあたり新会員候補として推薦した105名のうち6名の任命を、菅義偉内閣総理大臣は拒否しました。これに対し、日本学術会議は、直ちに任命されない理由の説明と任命されなかった6名全員の任命を要望しました。
 しかし、今に至るも、菅内閣総理大臣は「総合的、俯瞰的」に判断した、と述べるだけで、任命拒否の理由を説明されていません。
 理由の説明のない任命拒否は、日本学術会議に対する政治介入だと言わなければなりません。日本学術会議は、日本学術会議法第3条に規定されているように「独立」の機関です。日本学術会議が推薦した会員の任命拒否は、法に定められたこの独立性を破壊するものであり、ひいては日本国憲法第23条に保障された「学問の自由」を侵害する行為であると言わざるを得ません。
 日本学術会議は「学者の国会」ともいわれ、政府に対して学問研究の立場から様々な分野にわたって政策提言をおこなっています。「文化財の保護と活用」に関しても、その内部に設置された史学委員会が2014年に「文化財の次世代への確かな継承-災害を前提とした保護対策の構築をめざして-」と題する提言を発表するなど、積極的な活動を展開されています。文化財を守り、学び、正しく活用して後世に伝えていくことを活動目的にしている当会にとっても、重要な指針となっています。
 当会は、こうした観点から日本学術会議のありように強い関心を持っています。当会は、菅内閣総理大臣による日本学術会議の新会員候補の任命拒否に強く抗議するとともに、6名の会員候補の速やかな任命を求めます。

  2020年12月5日
                          文化財保存全国協議会常任委員会

2020年12月05日