「大社基地遺跡群主滑走路」東端付近の県有地の保存について(要望)

                                2023年10月25日
島根県知事  丸山達也 様
島根県教育長 野津建二 様

                            文化財保存全国協議会 
                              代表委員 小笠原好彦
                              代表委員 橋本 博文


    「大社基地遺跡群主滑走路」東端付近の県有地の保存について(要望)

 私ども文化財保存全国協議会は、「大社基地遺跡群主滑走路」の保存と活用について2021年3月に貴職へ要望しましたが、この「主滑走路跡」東端付近の県有地に、島根県健康福祉部が設置する出雲児童相談所を移転新築する計画の報道に接し、改めて「大社基地遺跡群」ならびに「大社基地遺跡群主滑走路」の現状保存を要望する次第です。
 「大社基地遺跡群主滑走路」は、アジア太平洋戦争最末期の1945年3月から6月にかけて建設された旧海軍大社基地の中心施設です。それとともに、島根県最大規模の戦争遺跡であり、その遺存状態が全国的にも稀有で学術的にも高い価値をもつことは、島根県民の皆さんのみならず、私どもを含めた全国の学術団体、文化財保存団体が認めるところです。
 貴職が躊躇されている戦争遺跡の文化財認定は全国各地で進められているところです。東京都内では埋蔵文化財として1970年代後半より記録保存の対象として扱われ、発掘調査やその成果に基づく現状保存、活用の実績もあります。また福岡県では県教委が戦争遺跡の悉皆調査を2017年から4カ年実施し、重要なものとして2023年3月に行橋市の旧海軍築城航空基地に設置された稲童掩体を県指定文化財にしています(市文化財指定は2002年)。
 私たちは、このような例を見るまでもなく、貴職が「大社基地遺跡群主滑走路」を正しく歴史遺産=文化財と認識し、「主滑走路跡」東端付近での開発計画を変更することを切望します。そして消極的な姿勢から脱し全国都道府県、県内市町村の範となって、遺された滑走路跡を中心とする大社基地遺跡群の現状保存のための適切な措置をおこない、将来の活用にむけて必要な施策を推進されることを強く要望いたします。

                    記

1.出雲児童相談所の移転新築計画を再検討し、「大社基地遺跡群主滑走路」東端付近の県有 地を現状保存すること。
2.大社基地遺跡群の歴史的重要性を考慮してこれを埋蔵文化財として取り扱い、史跡指定に向けて取り組むこと。

2023年12月24日