鳥取県米子市百塚88号墳に関する要望書

                              2022年12月20日
文化庁長官 都倉俊一 様
鳥取県知事 平井伸治 様
米子市長  伊木隆司 様
                            文化財保存全国協議会
                               代表委員 小笠原好彦
                                    橋本 博文

    鳥取県米子市百塚88号墳に関する要望書

 わたしたちは、鳥取県米子市淀江町で計画されている産業廃棄物処分場の計画地内にある百塚88号墳について、2020年12月9日付けで要望書を提出いたしました。
 その内容は、①すみやかに現存する古墳の墳丘の保護措置をおこなったうえで、すくなくとも事業計画が正式決定するまでの間、古墳の保存・活用を視野にいれた協議をおこなうこと、②文化財保護の原点に立ち戻り、地域の特質を物語る古墳の保護・活用をはかることでした。
 これについては、2021年1月17日付けで県担当部局より回答をいただきました。その回答は、①計画地内での地下水等調査の結果が出るまでの間、現地を盛土で保護するなど、開発事業者及び米子市と調整を進めていく、②古墳等の埋蔵文化財の保護、活用について、県文化財保護審議会史跡・埋蔵文化財部会の意見・助言をふまえ、引き続き地域と連携しながら適切に取り組んでいく、とするものでした。
 それから約1年6ヵ月後となる本年7月、地下水等調査の結果が公表され、産業廃棄物処分場の計画に支障はなく、令和5年度に処分場建設の申請がなされる予定であり、これをうけて県知事は9月の県議会で、担当部局の発言をふまえ、古墳を現地保存せず移築復元する意向であることを答弁されています。
 これまで、日本を代表する複数の文化財の専門家が、百塚88号墳を現地保存することの意義を訴えているにもかかわらず、開発事業を優先し、古墳を移築復元とする計画が進められていることは、まことに遺憾です。
 また、未調査の墳丘が現地に残っているにもかかわらず、記録調査は完了したとする県当局の認識も、文化財保護に精通した専門家の意見・助言をふまえたものとは思えません。
 上記の現況をふまえて、わたしたちはあらためて以下のように要望いたします。

 処分場建設が正式決定された後も、古墳を現地保存したうえで、その保護・活用を図る協議を、開発事業者、専門家および地元の関連団体と継続しておこなうこと。

2023年01月04日