文化財保存全国協議会

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和島誠一賞の紹介
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第23回和島誠一賞

第23回和島誠一賞

 本会では、文化財保存運動の先駆者であった故和島誠一氏の科学的精神とその思想に深く学び、21 世紀における文化財の保護、活用および普及活動の飛躍的な発展を期待して、2000 年に「和島誠一賞」を制定し、広く全国で文化財の保護、活用、普及などに関連して顕著な活動をおこなった個人・団体を表彰している。
 2022年3月26日に開催した選考委員会で、下記の選考委員と協力委員からの候補者推薦をもとに慎重に審議した結果、個人部門は當眞嗣一氏(沖縄県)を、団体部門は「月の輪の心を語りつぐ会」(岡山県)を第 23 回和島誠一賞の表彰者・団体とすることに決定した。
 【選考委員】小笠原好彦(選考委員長)、橋本博文、勅使河原彰、杉田義、大竹憲昭、
       和島明、神戸輝夫、澤田秀実、松田度、
 【選考協力会員】今岡稔、大平聡、川岡勉、木村英祐、小宮みち江、高瀬克範、
       松島町子、用松律夫


受賞者の紹介

個人部門
 當眞嗣一(とうま しいち)氏   沖縄県在住

 當眞嗣一氏は、長く沖縄県教育庁に勤務し、沖縄の文化財行政部門で中心的な役割をにない、世界遺産に首里城をはじめとする「琉球王国のグスクおよび関連遺跡群」が 2000年に登録された際に、その推進にあたる準備段階の作業部門で責任的な役割をになっている。
 また一方で、當眞氏は、琉球大学の史学科を卒業後、沖縄に分布する石垣をめぐらすグスク(城)の研究にたずさわり、その第一人者として、グスクの構造を把握する基本作業として縄張り図を作成して各地に遺存する各グスクの構造の特徴、年代による築造の変化などの解明を進め、『琉球グスク研究』(2013 年)を刊行している。
 さらに、1984 年の『南島考古学だより』30 号に掲載された「戦跡考古学のすすめ」で、第二次世界大戦下の日本で、唯一の地上戦がおこなわれた沖縄の戦争遺跡や遺留品を、戦争資料として保存し、後世に伝えるとことを提起し、当時、沖縄戦の事実を隠蔽しようとする反動的な動きを批判して、そのような動きをおさえるとともに、戦争資料を広く活用するために、「戦跡考古学」の必要性を提唱している。そして今日、各地で戦跡遺跡の調査や保存措置がおこなわれるようになってきており、戦跡考古学の発展に寄与するとともに、戦跡考古学の第一人者としても活躍している。
 このような長年にわたる沖縄での當眞氏のグスク研究と戦跡遺跡に対する歴史的評価と保存への積極的な活動は、高く評価される。

経歴 1944 年、沖縄県に生まれる。
   琉球大学法文学部史学科を卒業し、沖縄県教育庁文化課に勤務、同文化課課長、
   沖縄県立博物館館長、沖縄考古学会会長などを歴任する。
   現在、グスク研究所を主宰。
著書 當眞嗣一『琉球王国の象徴 首里城』新泉社 2020 年
   當眞嗣一『沖縄近・現代の考古学』琉球書房 2015 年
   當眞嗣一『琉球グスク研究』琉球書房 2013
   當眞嗣一『沖縄の城ものがたり』共著、 むぎ社 2013 年


団体部門
 月の輪の心を語りつぐ会   岡山県
      代表:角南勝弘

 岡山県の月の輪古墳は、1953 年 8 月 15 日、正しい歴史を自らの体験によって学ぶという戦後に展開した国民的歴史学運動のもとに発掘された古墳である。この月の輪古墳の発掘は、近藤義郎氏を中心とする考古学研究者、教師、学生たちと飯岡地域の地元の人たちが全面的に協力し、延べ一万人の人たちが参加して進めたものであった。
 この月の輪古墳は 5 世紀前半の大型円墳で、鏡、玉類、武器など多くのものが副葬され、墳丘上には家形埴輪・短甲などの形象埴輪も配されていたことが解明され、知識人と民衆が一体となり、共同で歴史を解明するという国民的な歴史科学運動の代表例の一つとして高く評価された運動であった。
 「月の輪の心を語りつぐ会」は、1997 年に発足したもので、月の輪古墳の発掘時におこなわれた精神を継承するもので、村民有志、美備郷土文化の会、月の輪刊行会、月の輪合唱団などを母体としている。この会の主な活動は、毎年 4 月 29 日、月の輪古墳へ登り、古墳を学ぶという学習を行事としておこない、月の輪音頭を唄い踊る「月の輪祭り」(発掘開始の 8 月 15 日に続けている)を引き継いでおり、毎回、月の輪収蔵庫において関係資料や映画を観賞し、発掘した往時を偲ぶとともに、月の輪古墳のもつ現代的意義を考え、また活動している。そして月の輪古墳をたずね、古墳上で国民的歴史学運動への想いを新たにし、参加者による相互の連帯と新たな歴史的意義を再生産する活動をおこなっている。
 また、発掘後に設けられた月の輪収蔵庫の運営に参画し、出土品を管理するとともに、見学者の案内などもおこなっており、月の輪古墳の歴史の継承と古墳の保存、環境整備にも尽力している。
 このように、会の活動主旨とその実践団体として高く評価される。

「月の輪の心」を伝える主な刊行物
   月の輪古墳刊行会『月の輪教室』 1954 年
   近藤義郎・中村常定『地域考古学の原点 月の輪古墳』新泉社 2008年

2022年07月02日

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主催:奈良歴史遺産
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2025年11月12日(水)
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