鴨川市田原地区のメガソーラー建設用地内の文化財保存対策を求める要望書

                                2025年10月5日
鴨川市長   佐々木 久之 様
鴨川市教育長 蒔 苗  茂  様
                              文化財保存全国協議会
                                 代表委員 橋本博文
                                 代表委員 澤田秀実

     鴨川市田原地区のメガソーラー建設用地内の文化財保存対策を求める要望書

 千葉県鴨川市の清澄山系にある日蓮宗の清澄寺は、かつては天台宗、後に真言宗の古刹で山岳信仰の霊地であったことから、この清澄山系には、古くから修験道が開かれてきました。また、清澄山系の対岸に位置する嶺岡山系には、日本酪農の発祥地とされる嶺岡牧があって、これらに挟まれた長狭地区は、伝統として酪農が盛んな地域として知られています。
 こうした歴史をもつ清澄山系には、家畜を供養する馬頭観音と山岳信仰や酪農の仏である大日如来が古道を中心に多数が祀られ、寺跡や辻跡などが人知れず残されています。しかし、鴨川市による文化財の周知化が著しく立ち遅れていることから、これらの文化財が市民に周知されないまま現在に至っています。
 この清澄山系の田原地区峰山では、AS鴨川ソーラーパワー合同会社によるメガソーラー建設が進められようとしています。このメガソーラー建設用地とその周辺には、現在まで尾根道を中心に馬頭観音と大日如来がセットの石仏群、修験の庵や屋敷と思われる建物跡など計8件の文化財が確認されています。しかし、メガソーラー建設用地は、約250ヘクタールと広く、かつ早くから荒山となっていたために、未発見の文化財が多数存在するものと考えられます。にもかかわらず、鴨川市は、昭和期に同所でゴルフ場開発を目的とする文化財の照会があった際に、その時点で周知の遺跡が確認できていなかったことから開発を許可したことを理由に、文化財の確認調査すらしようとしていません。
 そうした状況下で、開発申請があった2018年から延期されていたメガソーラー建設が今年になって開始され、清澄山系の固有の歴史をもつ文化財が調査もされないままに破壊されようとしています。
 以上から、下記の文化財保存対策を講じるよう要望いたします。

                       記

1. メガソーラー建設にかかわる工事を直ちに中止させ、地上に残されている石造文化財や埋蔵文化財などを確認するために、建設予定地内の全域をもれなく調査すること。
2. 埋蔵文化財である遺跡については、その規模や内容を把握するための試掘調査を実施するとともに、文化財が濃密に存在する区域については、保存緑地などの保存措置を図ることなどを事業者と協議し、当該事業地内の文化財保存に関する地区計画を市民の意見を得てとりまとめ、速やかに公表すること。
3. メガソーラー建設にあたっては、工事に先立って事前の発掘調査が文化財保護法で定められている。この場合は、適正な発掘調査がおこなわれるよう学識経験者による委員会を設け、その指導の下に調査をおこなうこと。
4. 文化財行政の専門職員を配置するとともに、外部の学識経験者から適切な助言を得る恒常的な体制を構築すること。

2025年10月13日