高輪築堤跡の現地保存と第2期工事計画の説明を求める決議(大会決議)

  高輪築堤跡の現地保存と第2期工事計画の説明を求める決議

 日本の鉄道の歴史は、今から150年前の1872年(明治5)9月に新橋駅(現:汐留)から横浜駅(現:桜木町)までの区間を開業したことに始まり、その区間の一部は海に築堤がつくられました。JR山手線の新駅(高輪ゲートウエイ駅)周辺の再開発に伴い、この高輪築堤跡が発見されました。
 この高輪築堤跡は、在来の築城や台場建造技術とヨーロッパの技術を活用した、日本最古の海上鉄道遺構で、明治日本の近代化を象徴する建造物です。
 高輪築堤跡は、世界遺産級の文化財であることから日本考古学協会や日本歴史学協会などの様々な学術団体から全面保存を求める要請書が提出されました。それにも関わらず、一部を国指定史跡として残す以外は、解体を前提として記録調査が進められています。
 2022年1月28日、国際記念物遺跡会議本部は、高輪築堤跡を世界的に貴重な文化遺産と認め、第1期「1街区~4街区」の遺構が破壊されている現状に憂慮と疑義を示した「遺産危機警告(ヘリテージ・アラート)」を発出しています。
 このような状況下で、JR東日本は品川駅周辺の第2期「5・6街区」の工事については「未だ計画策定中」としています。すでに保存状態の良好な築堤跡の存在が確認されている「5街区」「6街区」で環状4号線の工事などが進んでいます。そのため、高輪築堤跡の破壊が始まっているのではないかと憂慮されます。
 わたしたちは、JR東日本に、「5街区」「6街区」の工事の進捗状況と「未だ計画策定中」とされている再開発計画のすべての情報を開示することを強く求めます。そして、「5街区」「6街区」再開発に当たって、地域住民及び国民の声を反映させた計画を策定し、国民共有の財産でもある高輪築堤跡を現地保存することを強く求めます。
 以上、決議します。

 2022年6月26日

 文化財保存全国協議会第52回東京大会

 

【送付先】
内閣総理大臣 岸田 文雄様
国土交通大臣 斉藤 鉄夫様
文部科学大臣 末松 信介様
文化庁長官  都倉 俊一様
東京都知事  小池百合子様
東京都教育委員会教育長 浜 佳葉子様
港区長    武井 雅昭様
港区教育委員会教育長  浦田 幹男様
東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 深澤 祐二様
この他、東京都議会および港区議会の各政党・会派にも送付しました。

2022年07月02日