ロシアのウクライナへの侵略に抗議し、即時撤退と文化遺産の保護を求める声明

【声明】ロシアのウクライナへの侵略に抗議し、即時撤退と文化遺産の保護を求めます

 ロシア・プーチン政権は2月24日にウクライナへ軍事侵攻し、首都キーウをはじめウクライナ各地で、侵略戦争を開始しました。いかなる理由があろうとも、他国に侵攻し主権を踏みにじる行為は正当化されません。武力による他国への攻撃は、国際法にも国連憲章にも反します。民間人は狙わないとしながら、ミサイルによる無差別攻撃によって、子供を含む多くの市民の生活や生命が危機に瀕し、奪われています。また、ウクライナ市民の家や学校、病院までもが攻撃され、町は破壊し尽くされています。さらに自国から国外へ逃れた数百万人を超える多くの避難民は、家族が引き裂かれ、言葉の通じない他国での生活を余儀なくされています。そして、長い歴史の中で受け継がれてきた、ウクライナの人々の誇りであるキーウをはじめとする各地の文化遺産にも破壊が及んでいます。このような歴史の流れを断ち切り、他国民の生命ばかりか心の財産までをも奪う行為はジェノサイドそのもので、断じて許せません。
 我が国の新聞報道等によると、ユネスコは4月1日に、ロシアが侵攻したウクライナにおいて、これまで教会や歴史建築など少なくとも53の文化遺産などに全壊や一部損壊の被害があったことを明らかにしました。被害は宗教施設29、歴史的建造物16、美術・博物館4、記念碑4に及び、7つの世界遺産(文化遺産6、自然遺産1)での被害は確認されていないものの、今後の攻撃による世界遺産を含む文化遺産損壊の危険性に懸念を強めています。
 私たちは、このようなロシア・プーチン政権によるウクライナへの侵略行為に断固抗議し、ウクライナからの即時撤退と平和的手段による問題解決および文化遺産の保護を強く求めます。

                             2022年4月22日

                          文化財保存全国協議会
                            代表委員  小笠原好彦
                                  橋本 博文

2022年04月24日